一昨日深夜ニューヨークを出港したサンプリンセス号は次の寄港地マイアミに向かって航行中。
横浜を出港してから二カ月が過ぎようとしている。
乗客は船の生活にも慣れて顔見知りも増え、大小仲良しグループも形成されている。
食事だが基本は三食レストラン(マーキスダイニング、リージェンシー)で毎回違う4人〜8人の組み合わせになるが、時間の制限や服装の指定、組み合わせなどが苦手だと14階のビュッフェ(ホライゾンコート)に行く。
日に日にホライゾンに行く乗客が増えて、時間によっては熾烈な席取り合戦になるので私達はリージェンシーに戻った。
席に着くとちょっとした緊張感と互いに牽制しながら、普段はそんなんでもないと思うが、如何に自分達夫婦が仲が良いかを、さりげなく見せつける。その後誰かが口火を切ったら、まぁー大体直後に行った寄港地の話題から次回行く寄港地の話題へ。
食事も終盤に入り互いを理解し始めたら、不確実な情報(噂話し)に突入する。
恰幅の良い紳士が
皆さん聞きましたか?昨日ニューヨークの入国審査でのその後のお話?
私に顔が向いていたので、
何かあったんですか?
恰幅の良い紳士は少し驚いた素ぶりで、
知らない、、、。何時に出ましたか?
私は普通に11:00前には審査を終了して多分地下鉄の駅に向かっていたというと、
私と奥さん以外の四人は一斉に驚愕と、もしかして少し怒りの顔で私を見た。
恰幅の良い紳士が言葉に少しだけ棘があったが、昨日の事を説明し始めた。
元々サンプリンセス号はニューヨークへの入港が大幅に遅れ朝5時の予定が10:30に変更、それが前日には12:30からの入国審査になっていた。
しかし11:00のアナウンスで
入国審査が予定より早く始まったのと今現在は空いていることを伝えると、待機していた乗客は、脱兎のごとく殺到した。
しかし間の悪い事に、入国審査会場には同じ日本から来たピースボートが入国審査を始めていて終了するまでの1時間半から3時間を入国審査会場(元々倉庫)に並ばされて立ちっぱなしで戻ることも許さなかったらしい。
老紳士乗客は
私は体調が良くないから、戻る💢
サンプリンセス乗組員は
一度全員が入国審査を受けなければ戻ることは出来ません❗️
老淑女が高い声で
💢あなたねー、元はアナウンスで空いているからって言ったでしょ❗️なんでピースボードが先なのよー💢
口々に、
ツアーに遅れたら責任取れるのかー💢
そのうちに
JTBは何やってんだ💢
揚げ句に
船長が氷山を避けるからって言ってたけど、こんな時期に氷山が流れてるのって嘘じゃないの‼️
そうだー💢
その時サンプリンセス号の若い外国船員が親指を下に向けた。
良く映画でケンカを売るポーズだ‼️
乗客の何人かがそのポーズを見つけて大混乱だった。
結局最後に入国審査を受けた人は15:00を回って当初予定から10時間遅れた。
恰幅の良い老紳士の説明が終わる頃、私が食後のコーヒーを飲み終えて、
修羅場っすねー
それでどうやって収まったんですか❓
恰幅の良い紳士は一口コーヒーカップに口をつけた後、
いやー昨日の夜ここで聞いた話しだからその続きを知りたくてね❗️
一同⁉️
私が
えっ❓居なかったんですか❓
あー。
サンプリンセス号の乗客が入国審査会場で大変だった頃、私達は柔らかな日差しの下セントラルパークで寛いでいた。