穏やかな太平洋をサンプリンセス号は次の寄港地メキシコのカボサンルーカスに向かって航行中。
この旅も終盤になったが、出航当時にあった揉め事を思い出した。
アトリウムで船長主催のシャンパンタワーで人が集まり過ぎて危うく事故になりかけた事があった。
私は後日、現場責任者とその上の責任者とまたその上の責任者との話し合いの席で、根本的な問題を問い質したが、中間の責任者が
大丈夫でーす。問題は解決しました❤️
とA4用紙を私の前に置いた。
用紙にはアトリウムの平面図に赤のマジックで外周を半周囲んだ矢印がかいてあった。
私も奥さんも言葉を失った。
中間責任者も現場責任者も一番偉い責任者も屈託のない笑顔で解決を喜んでいた。
部屋を出た私達は、立ち止まった奧さんが後ろを振り返って
あの人達わかってないよね❗️
私が頷きながら
そうだよな❗️
単純な話しじゃぁーないのになー。
その後もレストランなど従業員の入れ替えでサービスが低下した時など現場責任者にその都度問い質したが
わかりましたー直しまーす。
と、いくつかあるレストランでその問題部分は直ぐに改善されたし、人が集まる行事には狭い船内を上手く使って一列で最後尾には必ず従業員が着くようになって混乱は無くなった。
奥さんは一言、
良くなったよねー
私は
単純な話だったんだよなー。
奥さんは
なにが❓
私は
この船の従業員って八百人ぐらいじゃん❓
数十カ国から集まっているからさー言葉も価値観も違うよねー❓
奥さんは
でもみんな英語話しているよー❗️
私は腕を組みながら、
母国語じゃあ無かったり、英語の出来もまばらじゃあん❓
だから単純に物事を決めて、軍隊みたいに上官絶対にしないとダメなんだよ❗️
奥さんは興味がないらしく数独を始めていた。
日本では大きく括れば価値観は大差がないから、細やかなところまで取り決めをしてまう。
個人の能力に依存して痒いところに手が届くサービスは出来るが、それを超える問題が起きると硬直化した組織では対応出来ない。
どっちが良いかは一概には決められないが今の日本だったら・・・。
8Fの執務室。
PM5時になると、レストラン・シェアバイカーティストストーンの営業の為に追い出される。